せどり虎の巻

本は大きく分けて「単行本」「雑誌」「新書・文庫」に分類されます。それぞれの分類の中でも、売れる本が多いジャンルと少ないジャンルがあります。

単行本

ブックオフでは2つの販売形態があります。
いわゆるプロパー棚と

プロパー棚

C(200円コーナー)の棚です。

C棚

どのブックオフでもそれぞれの販売棚は分かれてレイアウトされています。
基本的にはプロパーではアマゾンの中古本相場に連動して価格設定されています。
プロパーに置かれた単行本が長期に渡って売れないと、値下げされて200円コーナーに移されます。
この値下げ行為をブックオフでは「トコロテン」と呼ぶそうです。
店員同士が「トコロテンしといて」などと会話しているのをよく聞きました。
200円コーナーの棚は、ブックオフでは「C(シー)」と呼ばれていました。
いまはあまり聞かれませんが、以前は「トコロテン」「プロパー」「C」というブックオフ用語が店員の間で飛び交っていました。
さて、200円コーナーにはあまり良い本がありませんが、プロパー棚よりは安く仕入れられますので、200円コーナーから見ていきます。
200円コーナーに良い本が置かれなくなった理由は、トコロテンをしなくなったからです。
横浜市にブックオフオンラインの倉庫があり、ヤフオクで売るために、店舗の本を倉庫に送っているらしいのです。
なぜそういえるかというと、この間ヤフオクのブックオフで本を買ったら店舗の値札シールがついたままだったからです(笑)。
また、単行本プロパーの棚から店員がごっそり抜き取って段ボールを積み上げているのをよく見かけます。

ともかく、200円コーナーにしてもプロパー棚にしても狙いは同じです。
仕入れ値に応じた利益が見込める本を仕入れるだけです。
せどりの初期の頃は、プロパー棚には手を出さないのが賢明です。
なるべく安い資金で仕入れて、軌道に乗ったらプロパー棚も見ていくのがよいでしょう。
以下単行本仕入れの極意を3つ挙げます。

高ランク本(~20万位ぐらいまで)

これはどのジャンルにもあります。
要は、最近発売された本はたいてい高ランクなのです。
ただしどうしても高ランク本が見つからないジャンルというのがあって、それは「詩」のジャンルです。これは詩のジャンルがマイナーすぎるからです。
また「小説」のジャンルも、高ランク本が見つかりにくいです。
「小説」は相場が崩れやすい構造をしています。
なぜかというと、単行本の発売後しばらく経つと文庫版が発売されるからです。
文庫版が発売されると、同一タイトルで2形態の本が存在することになります。
その構造は他ジャンルでも存在しますが、必ずしも一般的ではありません。
小説の場合は単行本→文庫のパターンが一般的です。
そのため、単行本の「小説」のジャンルには高ランク本が少ないのです。

絶版本

どんな本を狙うかで述べたように、絶版本を狙います。
絶版本はどのジャンルにもありますが、高値がつく絶版本が見つかりやすいジャンルというのはあります。
具体的には、「宗教」のジャンルです。とくにキリスト教系書物が狙い目です。
「テクノロジー」「サイエンス」というジャンルの理工系書物にも定価を超えた絶版本が多いです。
高値の絶版本が生まれる仕組みは、多くの場合小さな出版社なのです(例外もある)。
小さな出版社の本は基本的に流通量が少ないため、絶版本が高騰しやすいのです。

要注意本

洋書は要注意です。
基本的に「洋書は売れない」と考えて間違いありません。
アマゾンランキングは書籍では、「本」(和書のこと)と「洋書」の2系統があります。
いままで述べてきたアマゾンランキングは「本」のランキングです。
和書に比べると洋書は売れないので、ランキング自体の意味が異なります。
つまり、同じ10000位でも「洋書」の10000位は「本」の10000位よりもかなり売れにくいのです。
本と洋書のランキングを区別しない検索サイトもあるため、「本」のランキングと勘違いしてたくさんの洋書を仕入れているせどり初心者をよく見かけます。
高ランク(5000位ぐらいまで)の洋書は仕入れても良いですが、それ以下はかなり売れにくいです。
モバイル版のモノレートでは「本」のランキングに換算した仮想ランキングが出ます。それを参考にするのもよいでしょう。
(個人的には、洋書5113位→本131926位というのは楽観的すぎると思います。洋書26位でも売れるのに1ヶ月かかったことがありました。)

洋書モノレート

雑誌

雑誌はジャンルだけで分けられています(まれに雑誌の200円コーナーがある店舗もあります)。
雑誌の考え方はISBNがあるかないかで大きく異なります。
バーコードを見ずに見分ける方法は、カバーがついているかいないかです。
雑誌大の大きさでカバーがついていればISBNあり、カバーがついていなければISBNなしと判断できます(まれに逆パターンもあります)。

雑誌

写真の右半分上下はバーコード部分の違いです。
ISBNのない雑誌(右下)は桁数の多い数字がついています。

ISBNがある雑誌

これは単行本と同じように考えます。
ISBNがあるということは、アマゾンランキングの「本」の系統に連なっているからです。
ジャンルでいうとコンピュータ関連の雑誌に良いものがあります。
その他手芸・美術・旅行・ファッション・文芸ジャンルも狙い目だと思います。
料理ジャンルや写真誌ジャンルは定番でしたが、最近は見つけにくくなりました。

ISBNがない雑誌

ISBNがない雑誌は「本」のランキングに連なっていません。
「雑誌」というランキングに連なっているのですが、これは系統立っていないので目安にならないのです。
モノレートでもISBNがない雑誌のランキングは出ませんが、出品者数の推移などで売れ行きの見当をつけることができます。
モノレートが使えない場合は、「価格が維持されているか」で判断します。
価値がありそうな雑誌で、価格が維持されていれば、需要があるということです。
ISBNがない雑誌はマイナーなものが多く、基本的に売れないのです。
売れないと、価格最適化ソフトで値下げ競争されて1円に近い価格まで落ちてきます。
価格が維持されているということは、適度に購入者がいたということです。
そういう考え方で、ISBNがない雑誌の人気度を推理します。
 以下は、ISBNがない雑誌の中ではこんな感じのものが売れるという例です。  

『ハーバード・ビジネス・レビュー』
これはよく売れます。雑誌半額セールがあった頃は必ず仕入れていました。現在ではあまり見かけなくなりましたが。
『会社四季報』
これは最新のものであれば、すぐに売れます。重くかさばるので安く売られていることがあります。
『Interface』
CQ出版のコンピュータの雑誌です。バックナンバーが高騰する場合があります。最近は見かけにくくなりました。
『せりふの時代』
舞台劇の台本などが掲載された、単行本サイズの雑誌です。2016年現在休刊中。有名な劇の台本などが載っている号は高値がつく場合があります。
『陶遊』
陶芸の雑誌です。こういうマニアックなジャンルで、かつ良く作り込まれている雑誌は高値がつくことがあります。
特にNGな雑誌
鉄道やスポーツの月刊誌がかなり難しいです。女性誌はほぼ無理でしょう。全くないわけではありませんが、効率の点で避けた方が賢明です。

新書・文庫

新書・文庫は108円で仕入れられます。
単行本と違って利幅が少ないですし、絶版で高値の新書・文庫は少ないですが、たまに良いものがあります。

新書

岩波新書とか講談社現代新書など、通巻ものの新書には仕入れられそうな本は少ないです。

文庫

文庫は仕入れられそうな文庫が大体決まっています。
 岩波文庫
 講談社学術文庫
 ちくま学芸文庫/ちくま文庫
などが定番です。

DVD・CD・おもちゃ

現在では難しい分野です。
DVDでは結構稼ぎましたが、本と比べるとわずかです。
今後はDVD・CDというメディア形態が崩壊しそうなので、期待できません。
昔はビデオテープやカセットテープで映画や音楽を視聴していました。
現在ではビデオテープやカセットテープは流通していませんよね。
DVD・CDもおそらく数年以内に、同じ道を辿ると思われます。
おもちゃはよくわからないので、仕入れませんでした。

赤本

赤本

赤本は「本」ではありますが、他の単行本や雑誌などとは考え方が大きく異なります。
前述したように、赤本の相場は近年大きく崩れたため、以下の情報が必ずしも役立つわけではありません。
しかし、「誰がこの本を買うか」というせどりの考え方を伝える好例ですので、余すところなく説明します。
赤本の場合はFBAの出品者が格段に強みを持っています。
この強みは受験シーズンに近づくほど増します。
なぜなら、FBAであれば最短で当日に赤本を手にすることが出来るからです。
自己発送の出品者は配送日が確約できないので、購入者も買いづらいようです。
赤本は一般の本よりも書き込みに注意が必要です。
書き込みがある赤本は価値が著しく下がります。

赤本せどりの基本的な考え方

古い赤本ほど価値が高まる

普通の本は新しいほどよく売れますが、赤本に関してはこの法則があてはまりません。
もちろん超最新の赤本はすぐに売れます。
超最新の赤本とは今が2016年だとすると、表紙に2017と書かれた赤本です。
表紙に2017と書かれた赤本は2016年6月頃から出版されはじめます。
2017と書かれた赤本が出版された大学は、2016と書かれた赤本は価値が一気に下がります。
むしろ2年前や3年前の赤本の方が価値が出るのです。
これは赤本に特有の性質です。
ただ、地方国立大学などの赤本の中には出版時期が遅い(10月とか11月)赤本もあります。
出版時期が遅い大学は超最新の赤本(2017年版)が発売されるまで、1年前の赤本(2016年版)がそこそこの価格を保ちます。
以下では赤本仕入れの極意を説明します。

切り替え年度の赤本を狙う

赤本には過去3年分ぐらいの問題が掲載されています。
大学・学部によっては過去5年分であったり、過去2年分であったりします。
最も高値で取引されるのは、最新の赤本ではなく、切り替え年度の赤本です。
たとえば、最新の赤本が過去3年分だとすると、3年前に発売された赤本が高値で売れるのです。
なぜか・・・わかりますか?
最新の赤本で過去3年分を解いた後で、もっと過去の問題を解こうと受験生は考えるからです。
このとき、1年前の赤本を買うとダブリの年度が2年分あります。
2年前の赤本を買うと、ダブリの年度が1年分あります。
3年前に発売された赤本にはダブリの年度がないのです。
だから、切り替え年度の赤本に受験生は殺到するのです。

東京海洋大学
東京外国語大学

こちらは東京外国語大学2011年度版のモノレートです。
受験期にはかなり品薄になり、高値で取引された記録があります。

東京外国語大学

特に注意したいのは、赤い矢印の部分です。 最下段はランキングです。
ランキングが急上昇しているのに、最上段・中段には出品価格や出品者数の記録がありません。
モノレートの記録は1日数回しかとられないので、出品後スグに売れた場合は最上段・中段に変化が現れないのです。
一方ランキングは、1冊でも売れて急上昇すると、下降するのに時間がかかる(段階的に戻っていく)ため記録が残るのです。
つまり、モノレートで最も注目すべきは最下段のランキングです。
前ページの防災の本で触れたように、俺様価格のように高値がつけられていても、ランキングに変化がない場合は売れていないと判断できます。
一方で、青い囲みで示された部分では出品者が1人でしたが、3月4日を境に最上段の最安値の記録が消え、中段の出品者数はゼロになり、最下段のランキングにも上昇した形跡が残っています。
このように3つの指標に連動した記録が残る場合は、実際に○○円で売れたと判断できます。


さて、受験生がもっと多くの過去問を解こうと考える大学とはどんな大学でしょうか?

答えは、魅力的な大学です。
魅力的で、どうしても受かりたい大学だから、たくさんの過去問に当たって合格可能性を高めたいのです。
それほど魅力がない大学であれば、最新版に載っている分だけ解いておけはよい、となります。
大学の魅力には色々な要素があります。
大学の魅力を考えながら、高騰する赤本の特徴を見ていきます。

マイナーな大学を狙う

赤本はたくさん仕入れましたが、東京大学や京都大学はほとんど仕入れたことがありません。
早稲田大学や慶応大学も学部によっては高値で売れますが、基本的には仕入れません。
なぜでしょうか?
答えは、メジャーすぎるからです。
東大や早慶大は人気があり大きな大学なので、志願者も多いのです。
赤本は志願者数を基準に刷られるので、メジャーな大学ほど大量の赤本が刷られ、世間に出回ることになります。
そうすると、メジャーな大学の中古の赤本はよく売れたとしても、供給がそれを上回るので中古相場は高騰しないのです。
反対に、マイナーな大学は小規模で志願者の数も少ないので、世間に出回る赤本も少ないのです。
そうすると古い赤本に希少価値が出て、高騰する可能性があります。
ただ、マイナーな大学であれば何でも良いのではありません。
マイナーで、かつ受験生にとって魅力的な大学の赤本が高騰します。

高値で売れた赤本

高値になるのは「切り替え年度の赤本」で、かつ、12月~1月の受験期に限られます。

国立大学

基本的には私立大学よりも国立大学の方が高騰します。
専門的な学問分野の大学と、比較的偏差値の低い医学部を有する地方国立大学が高騰します。
国立大学は1月20日頃のセンター試験後に最も高値で売れるパターンが多いです。
これは受験生がセンター試験の結果を見て、最終的に受験校を選ぶためです。
前期・後期が合本になっている赤本の場合は、2月下旬にもう一度波が来ることもあります。

『東京海洋大学』
海洋系学部は珍しいので、海好きの学生が集中するのでしょう。東京海洋大学は現在ではもっとも高値がつくタイトルのひとつです。2016年度が最新版とすると、2013年度が最も高値で売れるのですが、2014年度版や2015年度版でもそれなりに高値で売れます。
『東京外国語大学』
国立で外国語学部は珍しいので、やはり受験生が集中するのでしょう。2次試験の科目が「英語」と「世界史」だけというのも魅力要素です。毎年5年分位の過去問が掲載されています。5年前の赤本が仕入れられたら、3000円以上で売れるでしょう。ただしリスニング試験用のCDがついていない場合は、仕入れてはいけません。
   
『国立看護大学校』
これはかなり高値になります。高値になるということは流通量が少ないため、あまり見かけません。
 
やや高騰する国立大学赤本
『国際教養大学』『高崎経済大学』『前橋工科大学』『お茶の水女子大学』『東京芸術大学』『京都工芸繊維大学』『京都教育大学』『奈良教育大学』『奈良女子大学』『島根大学』『高知工科大学』『琉球大学』

私立大学

私立大学は相場の崩壊が特に顕著です。
私立大学はセンター試験の前までに売り切るつもりで売った方が、結果的には良いかもしれません。
最近の私立大学では、センター試験だけで合格できてしまう受験制度が増えています。
私立文系専願の受験生はセンター試験一日目が終わると滑り止め校を確保できてしまうので、センター試験後にむしろ勢いが落ちていく傾向があるのです。

『青山学院大学(全学部)』
 複数学部を1回の試験で受けられるというのが魅力のひとつです。もうひとつの大きな魅力は試験内容です。国語が現代文だけなのです。これは古文が苦手な受験生にとっては魅力です。受験シーズンであれば、3000円台までは高騰しました。
『神奈川大学(給費生)』
 合格すると授業料が免除されるというのが大きな魅力です。返済の義務もないそうです。12月中旬に試験がある特殊な赤本なので、11月末までには売りたいところです。
『麻布大学(獣医)』
獣医になりたい人はどうしても通らなくてはならない道なので、獣医学部は高値がつきます。その点では医学部も同じですが、医学部赤本の相場は崩壊しました。
『日本体育大学』
日体大の赤本は人気があり、割と高値になります。
『杏林大学(保健)』
ここも人気があります。相場はだいぶ崩れましたが、12月~1月頃は2500円位なら売れるはずです。
『立命館大学(後期分割)』
 私立の受験シーズンが終わった頃、この赤本が急騰します。良いタイミングで売れば、3000円~5000円で売れます。切羽詰まっている時期なのでFBA利用が必須です。
やや高騰する私立大学赤本
『昭和女子大学』『獨協大学』『文教大学』『神田外語大学』『慶應義塾大学(商)』『日本大学(文理<文系>)』『日本大学(芸術)』『日本女子大学』『武蔵野美術大学』『早稲田大学(国際教養)』

繰り返しますが、せどりの仕事は誰がこの本を買うのかを考えることです。
そこを追求すると、仕入れるべき本が見えてきます。